テーマを絞った不用品回収
タカ派どうしの場合、勝敗の確率が半々だとしたら、期待できる利得は利益Vから損失Cを引いたものに二分の一をかけた値になります。
それぞれの戦略は次世タカハトタカ派個体の平均利得=p(V-C)/2十(1-P)Vハト派個体の平均利得=Pxo十(1-p)V/2代に受け継がれ、餌を多く食べればそれだけ適応度が上がると考えれば、利得を高くする戦略がその集団に広がっていくことになります。
さて、ここに全員ハト派の集団があったとします。
そこに突然変異でタカ派の戦略をとる個体が生まれたとしましょう。
この個体にとって出会う相手はすべてハト派ですから、必ず勝って利益Vを手に入れることができます。
一方、ハト派の個体はVの半分しか利益を得られません。
ということは、この集団においてはタカ派の戦略の方が適応度を上げられ、タカ派が増えていくことになります。
逆に、全員がタカ派の集団があったとします。
そこに今度はハト派の個体が生まれたとしましょう。
この個体の利得はまわりが皆タカ派なのでゼロです。
一方、タカ派の個体はVの半分という利得が期待できます。
ここでVがCよりも大きければ、タカ派の利得はゼロより大きくなりますから、ハト派は適応度で劣ってしまい、消えてしまいます。
このように、タカ派ばかりのところにハト派が入り込むことができない場合、タカ派の戦略が「進化的に安定な戦略(回O{回目ar一lyStableStrategy'■略してESS}」になります。
しかし、逆にVがCよりも小さければ、ハト派の適応度の方が高くなります。
つまり、タカ派どうしが鉢合わせして闘争したときの損失が得られる利益よりも大きければ、ハト派が増える余地があるのです。
では、最終的にどのような割合になるのでしょうか。
ここで集団中のタカ派の割合をpとします。
pはゼロ以上1以下の値をとります。
するとハト派の割合は←-tということになります。
両者の利得は出会った相手がどちらであるかによって左右されますが、集団中に多く存在していればそれだけ出くわす確率も高くなるわけですから、出会う確率は集団中の頻度に等しいと考えられます。
この期待される利得がタカ派とハト派で等しくなったときに両者の頻度が安定すると考えられますから、そこからpを計算するとべ聡という値になります。
つまり、集団中のタカ派の割合がV、ハト派の割合が一マイナスVのときに、両者の適応度は等しくなり安定状態のESSになるということです。
もしこれよりもタカ派が増えればその適応度はハト派よりも小さくなるのでハト派が増え、もとに戻ります。
また、この平衡頻度は利益と闘争の損失の相対値で決まっているので、闘争による損失が利益に比べて大きくなればタカ派が少ない状態で安定するし、逆に利益が大きければタカ派が多い状態で安定します。
ここまでの説明では、ある個体がとる戦略をタカ派かハト派のどちらかに固定して考えていました。
しかし、実際にはひとつの個体が複数のやり方で状況に対処する場合があります。
つまり、複数の戦術を使い分ける戦略をとるということです。
同じ個体がタカ派とハト派のどちらかを使い分けることができるとした場合には、すべての個体がVの割合でタカ派戦術を、一マイナスVの割合でハト派戦術を採用するという戦略をとったときに安定状態となります。
これもESSといえるでしょう。
このモデルは非常に単純ですから、そのまま動物の行動にあてはめるのは難しいものがあります。
しかし、もうすこし要素を増やして複雑にしたモデルには実際のデータがうまくあてはまることが分かっています。
このモデルから分かることのひとつは、ある個体がどのような行動パターンをとるかということは、常に他個体が何をしているのかということに左右されるということです。
もうひとつは、社仝のなかでそれぞれの個体が自らの利益を求めて相互作用すると、結果として安定な均衡に行き着くということです。
ここで扱ったモデルは、ある戦略が先天的に決まっており、次世代に遺伝するという前提のもとにつくられていました。
つまり、進化レベルでどのような均衡が生じてくるのかということを検討していたわけです。
しかし、もっと短いレベルで行動パターンが変化する場合もあります。
特に人間行動の場合には、遺伝ではなく学習や模倣によってある行動が伝達され、自然淘汰ではなく社会や経済の要因によってそれらが選択されるという場合が考えられます。
原理は同じことですから、進化ゲームの考え方はこのようないわば後天的なレベルでの分析にも応用できます。
例としては進化経済学といった分野が挙げられるでしょう。
ただし、後天的なレベルの場合、必ずしも利得に従って戦略が広まらないなどのさまざまな問題を考慮しないといけないようです。
社会心理学者のT氏らは、人間社会においてある規範が成立する可能性を、このような進化ゲームを使って検討しています。
その規範とは、「資源は互いに分かち合うべきだ」という共同分配規範です。
資源を分配するというのは、極めてヒトらしい特徴といえます。
食物の分配はチンパンジーなど他の霊長類にもみられますが、ヒトのように積極的で大規模なものではありません。
考古学者のG氏は、社会性や知能、言語の発達といったヒト独白の特徴は食物の分配という行為をもとにして生まれたと主張しています。
このことから、狩猟採集民がどんな資源をどのように分配しているのかということについての研究がさかんに行われてきました。
そこから初期人類における分配の成り立ちを探ろうというわけです。
狩猟採集民における資源分配システムについてはさまざまな理論が提唱されていますが、なかでも有力な仮説は「リスク分散説」です。
これはパラグアイのアチエ族を研究している人類学者のH氏とK氏が主張しているもので、要するに狩猟で獲得された肉のように、得られることが不確実な資源は皆で分配するというシステムが確立していれば、肉が得られなかったときのリスクを分散できるだろうというものです。
社会保険のようなものですね。
ただ、この説には分配を受けるけど自分からは分配しない、という裏切り者をどうするかという、社会的ジレンマの問題があります。
別の説としては、非獲得者が獲得者から資源を奪おうとし、獲得者としては抵抗しても争いのコストが大きくなるので分配を容認せざるを得ない、という「容認された窃盗」説があります。
しかし、このような闘争状態の結果として平等な分配が成立するよりも、資源分配を可能にする「社会規範」があると考えた方が自然ではないか、とT氏らは考えました。
実際、狩猟採集社会には分配に関する規範が存在します。
T氏らが考えたモデルは次のようなものです。
ある時点において資源を獲得できるのはその共同化したT氏とK氏の会のごく少数のメンバーです。
それぞれのメンバーがとり得る行動パターンは、自分が獲得者の場合は資源の所有権を主張するか共同資源として分配する、非獲得者の場合は獲得者の所有権を容認するか資源の共同化を主張する、というものが考えられます。
これらの組み合わせで四つの戦略が定義されます。
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